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「ご家族、子ども、看護師で行う共同意思決定とは」ナンシーの療育研修レポート(2)

2021.04.23

こんにちは!フローレンス事務局の井上です。

 

医療的ケアシッターナンシーでは医療的ケアだけでなく、「療育」という観点で子どもたちの成長を支援することにも取り組んでいます。療育分野は未経験という看護師も多いなか、私たち看護師が出来ることは何か?など悩みながらも真剣に子どもやご家族と向き合う日々。この研修は、療育について改めて皆で学び、ナンシーの療育の核となるものを作ろうと始まりました。

今回は第2回の内容を、ナンシーの看護師が感じたことも交えながらお届けしていきたいと思います!

(第1回はこちら

 

講師は、前回から引き続き、発達コンサルタント®の小島賢司さん。

平日に理学療法士として横浜市の療育センターで働く傍ら、『HATTATSUコンサルタントのこじさん』として、発達運動学の知識を活かし、お子さん一人ひとりの個性に着目した最適な育児をご提案する活動をしています。

 

今回の研修は、グループディスカッションと講義の二部構成で行いました!

 

ご家族、子ども、看護師、三者それぞれの思いと意思決定

 まずは、1つの症例に対してどう考えるか、グループディスカッションを行いました。取り組んだ架空の症例では、子どもの身体機能や病歴、家族構成、ご家族が療育に求めることなどについて細かく具体的に定められています。その上で、例えばAグループでは、「朝の挨拶時にすぐ子どもが入眠した場合に、看護師がある行動を取ったとして、その行動に至る意思決定を行うまでにどんなプロセスを辿ったのか」について話し合いました。与えられた場面で、ご家族、子ども、看護師の三者の立場でそれぞれがどういう思いをもっていたかについて、意見を出し合いました。

 

最初に、ご家族の立場では、疲れてるから休ませてほしいかな、それとも昼夜逆転しているから起こしてほしいかな、その子の直近の体調や生活によって複数のパターンが考えられるね、という話になりました。また、子どもの立場については、つまらないから寝ちゃったのかな、安心しているのかなと、想像を膨らませました。最後に、看護師の立場については、様々な意見が飛び出しました。例えば、最近の様子をご家族に聞きながらアセスメント(客観的な調査)をして考える、など冷静な意見もあれば、楽しい3時間を提供しなきゃという焦りの気持ちを感じるという意見も。また半年くらい子どもを担当すると、寝方を見て、熟睡しているのか起こしてあげた方が良いのかわかるようになる、という看護師もいました。

 

ディスカッションを終えた看護師からは、「ご家族によっての違いや、訪問時に見える表情など様々な着目ポイントを知ることができ、自分では気が付かない深いアセスメントについて学べた」との感想が出てきました。看護師によって感じ方が沢山あることに気づけたり、「こう思うの私だけじゃなかったんだ!」と心強くなったりと、多くの発見や共感が生まれる貴重な時間となりました。

 

共同意思決定の必要性

さて、ディスカッションを終えたら講義です。療育の大きな流れを知った第一回。療育は本来、一つの職種で完結するものではないと知りました。各専門職の人たちが連携しながら、お子さんを守り、支援する。その流れの中で、看護師として、私たちはご家族や子どもと「共同で」意思決定をしていくことが大切です。

 

医療職を含めて各専門職の人たちは、利用者の状態把握とアセスメントをもとに、体系的・分析的アプローチで様々なパターンを想起し、思考した上で、診断・治療を行います。利用者には、ただケアを施すだけではなく、「なぜこれを選択するのか?」について可能な限り、情報も合わせて伝えていくことが必要です。子どもの成長・加齢は待ってくれません。発達に伴い、変形が起こってくるリスクもあります。陰性兆候という目に見えない兆候から始まり、目に見える陽性兆候、そしてその次に変性が起こります。変性が起こってから対処するのではなく、起こる前のステージで出来る限り適切な対処をしていった方が良いのです。そこで、ご家族が段階に応じて必要なケアを行えるように、医学的な情報をご家族と擦り合わせていくコミュニケーションを日常的に行っていくことが必要なのです。

 

多くの人が関わり、共同意思決定を行う事によって、情報も増え、マンパワーに頼らずに出来ることが増えます。そして、地域連携や多職種連携が実現していくのです。

 

ライフステージごとに変化する子どもの環境とご家族の思い

講義では、側弯症のケースを一例として、乳幼児期(0-3歳)、未就学期(4-6歳)学齢前期(7-13歳)、学齢後期(13-18歳)、青年期以降(19歳以降)、それぞれのライフステージでどんな事が起こりうるかを学びました。症状の変化とともに、子どもが社会的に置かれる立場も変化し、その時のご家族の思いも変わっていきます。そしてそれぞれで私たち医療職がどう対応していくべきかについても変化します。

 

例えば、未就学期にかけて定型発達児と障害児の違いが見えてきます。一方でご家族の生活を回す工数は大きく、変形もまだあまり表に見えてこないため、子どもの体が固くなっていくことにご家族の意識がなかなか行きづらいのが現状です。その場合、医療職の立場からは、予防のために、より意識的にストレッチ効果のある運動や遊びを取り入れる必要があることをご家族に伝えていきます。

 

また、学齢前期では、発達は緩やかになりますが、生活環境が一新して子どものあらたな一面が見られるようになります。自宅で過ごす時間が少なくなるため日中のご家族の介護負担は減り、夜間も気管支が成長して落ち着いて眠れるようなお子さんも増えます。一方で地域に子どもを託すことで、学校やデイサービスなど、関わる医療職の方も増え、連携が必要となってきます。

 

学齢後期になると、ご家族は子どもの卒業後の居場所について考え始めます。ここから何が出来るのか、いま本人の持っている最大限の力をどうやって発揮していくのか、変形や呼吸状態をなんとかしたいと思いを強くする。その時に、私たちは先を読んで、医学的対応や、ショートステイなど子どもが利用できる社会制度も含めてアドバイスをしていく事が大切です。

 

このように、子どもたちの置かれている状況や家庭のマンパワーの状況も把握しながら、医療職として、いつ、どれくらいの情報を伝えながら、どんな関わりをしていくか、柔軟に変えていく必要があります。また、ご家族が割と早期から色んな所に頼れたほうがマンパワーも分散して、生活しやすくなる。共同で意思決定をするために、伝えることは伝えながらも、バランスを取りつつ、包括的に関わっていくことが大切なのです。

 

参加した看護師からは、この講義を聞いてもやもやしていたものが晴れたとの声が上がりました。「一見、何もないように見えても、呼吸状態が悪くなったり、色んな事が起こる。看護師の想像する未来と親御さんの想像する未来、その認識の違いを小さいときから少しずつ確認していくことがとても大切だと改めてわかった。

 

関わりの中で悩むのは当たり前であり、真剣に考えるからこそ葛藤が生まれるということ。これまでナンシーの看護師としてやってきたことに自信が生まれて、今後はご家族に対してもっとこうしていけるんじゃないか、など新たな学びを得られたようです。

 

子どもの発達段階に応じて遊びをどう組み立てるか

 

さて、最後に発達段階における遊びの組み立て方についても学びました。ナンシーでは、療育の一環として、子どもたちに読み聞かせをしたり、歌を歌ったり、色んな遊びを通じて子どもの発達をサポートしています。小島さんからは、発達運動学の知識をもとに、子どもの発達段階に応じて、遊びを選んでいくことが大切だと教えていただきました。

 

遊びは認知機能と身体機能の掛け合わせで構成されています。認知機能とは周りのものを感じ取り、それが何か本人なりに理解してどう振る舞うか考える力です。特に、認知機能に関しては物事の理解が必要なので飛び級が難しいといいます。なので今できることのぎりぎり上を狙っていくことが大切です。子どもの認知機能の段階を意識しながら、遊びの種類を選択するのです。また、身体機能については、同じ遊びをする場合でも、発達段階に合わせて変えてみると良いといいます。例えば、読み聞かせをするときに、どの姿勢だったら共同注視(2人で同じものを見ること)ができる状態になるのか、などを考えながらやってみます。仰向け、うつ伏せ、座位、どれが適しているのか、姿勢によって子どもの出来ることが違うのです。

 

このように、子どもの身体面と認知面の両方の発達段階を見ながら遊びを組み立てることも、療育で最適な遊びを提供するために大切なポイントです。

 

この学びを得た看護師は、「提供している遊びに意味があるのか手探りでやってきたけれど、遊びについて学べたことで、今後その子に合う遊びの工夫ができそう!姿勢も変えていきたい!」とワクワクしていました!「制作物は目に見える活動成果なので、そういったものを作る方に気持ちが向くこともありましたが、子どもの発達段階に合わせて『今日は折り紙の感触を楽しむ』などを目標にして、一歩ずつ世界を広げられていけるといいなと思いました」とか小さなことでも良いと思えるようになったとのこと。医療的な部分だけでなく、遊びについての知識も得られ、ナンシーの日々の活動ですぐ実践できる嬉しい学びとなりました!

 

今回は、グループディスカッションでご家族・子ども・看護師の3者の思いについて様々な意見を交わしたのち、その3者の共同意思決定の大切さについて学びました。そしてライフステージごとの子どもたちを取り巻く環境の変化を学ぶとともに、場面に応じて私たちが療育に携わる上でどうあるべきか、時間の流れとともに理解することができました。最後に、私たちが日々提供している遊びについても学びを深めることができ、今回の研修がナンシーの活動全体に大きなヒントを得られるものとなりました!

 

療育の大きな流れを知った第一回、より実践的な学びを得た第二回、次はいよいよナンシーの療育の核となるものをみんなで話し合って決めていきます!

 

ナンシーでは、4月に新しい仲間を迎え、気持ちも一新しながら、看護師が挑む療育という未開拓な分野で挑戦を続けていきます!今後も、「子どもともっと関わりたい」「地域に出てご家族を支えたい」など様々な志をもつ新しい仲間を募集しています。是非採用情報をご覧ください!

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次回!最終回の療育研修レポートはこちら

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こども達のために、日本を変える。フローレンスは日本の子ども・子育て領域に関わる課題解決と価値創造に取り組む、国内最大規模の認定NPO法人です。 日本初の訪問型病児保育事業で2004年に設立し、子どもの虐待、子どもの貧困、障害児家庭の支援不足、親子の孤立の課題を解決するため、多様な保育事業を運営するほか、全国で「こども宅食」「おやこよりそいチャット」「にんしん相談」「赤ちゃん縁組」などの福祉事業と支援活動、政策提言をおこなっています。