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3つの障害児保育

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障害児の“遊び”って?子どもの成長を飛躍的にうながす、ヘレンのおもちゃと遊び

障害児保育園ヘレン

児童発達支援管理責任者3名による対談

「障害のある子と、どうやって遊んだらいいか分からない」
「この子が楽しいと感じることってなんだろう?」

入院生活を経て、家での子育てがスタートした障害児の親御さんから、そんな声を耳にすることがあります。障害児や医療的ケア児を子育てする方なら、誰もが一度は悩むのではないでしょうか。

「障害児保育園ヘレン」では、遊びを通じて子どもたちの成長を最大限にうながすため、看護師や保育士、児童発達支援管理責任者など専門知識を備えたスタッフが、日々さまざまな活動やおもちゃを取り入れています。

工夫あふれるヘレンの遊びについて、発達支援のプロである「児童発達支援管理責任者」の3名が語りました。
この記事を通して、ヘレンでの保育の様子も伝われば嬉しいです!

(※内容は公開時点のものです)

スタッフの紹介
いずみ先生:ヘレン荻窪園勤務。これまでに、放課後等デイサービスや特別支援学校や普通小中学校での勤務を経験。保育はヘレンで初めて。
えり先生:ヘレン初台園勤務。これまでに療育センターや特別支援学校を経験。
ゆきこ先生:ヘレン中村橋園勤務。これまでに重症心身障害児を対象にした支援施設等の勤務を経験。

「おもちゃ病院」に、“はんだごて”で配線まで!愛と工夫に溢れたおもちゃ

――ヘレンには、子どもたちの成長をうながすユニークな設備やおもちゃがたくさんありますよね。

えり先生:初台園には自分で立位や座位姿勢をとることは難しくても、手で操作することができるお子さんが多いので、「スイッチおもちゃ」のようなものはたくさんありますね。スイッチを押すと電車が走るとか、ロボットが歌って踊るようなしかけのおもちゃです。お子さん自身の力で操作できるよう、軽いタッチで動くように設計しているものもあります。

※スイッチおもちゃの例。スイッチを押すとシャボン玉が出る

 

音楽が好きな子だったら、好きな音楽が流れるおもちゃを作ったりします。好きなことだと、子どもたちもみんな頑張れますね。「もうちょっと手を伸ばしてみよう」とか「もう一回やってみよう」という意思が成長につながります。

自分でできた!という経験がまだ少ないお子さんも多いので、こうした遊びを通して自己肯定感を高めていけるといいなと思っています。

いずみ先生:遊びでは、お子さんに「因果関係」が分かるようにしています。たとえば、遊びの中で「スイッチを押すと、シャボン玉が出るんだ」という因果関係が分かると、自分で動かせたという自信につながり、自己肯定感が高まりますね。

――そうしたおもちゃはどうやって手に入れるんですか?

えり先生:自分たちで作ることも多いです。電気で動くおもちゃだと、わたしたち自身ではんだごてを使うことも。

――え!自作なんですか!!すごい。

えり先生:前職で特別支援学校等で勤務していた先生の中には、プログラミングや技術が得意な同僚に教えていただいた経験がある方もいらっしゃいます。それぞれ得意なことがあるので、チームでアイデアを持ち寄っています。

いずみ先生:自分で作るのが難しいときは、「おもちゃ病院」に持っていくこともあります。おもちゃを持っていくと、専門家の方が部品をつけて完成させてくれます。
発注するときも、なんのおもちゃをどう動かし、どんな効果をお子さんにもたらすか、という設計の部分は、保育者の私たちの領域。「小さな動きで、大きな効果」が出せるように意識しています。

※おもちゃ病院:主に、壊れたおもちゃなどを修理するボランティア団体。障害児向けにスイッチ端子の取り付けを行ってくださる団体もある。

ゆきこ先生:スイッチおもちゃだけではなく、身近な素材を使って五感を刺激するおもちゃもたくさんあります。ペットボトルに水とビーズを詰めて、砂時計のようにしてキラキラする様子を視覚で楽しんだり、100均で手に入る材料で足裏の感触を楽しめるおもちゃが作れます。


※百均で手に入る素材で作ったおもちゃ。さまざまな質感の素材を貼り、その上を歩いて感触を楽しむ。

 

――身近な素材だと、お子さんの反応も変わりますか?

ゆきこ先生:全てが新しい体験だと怖さが勝りますが、安心できる入口があると活動に前向きになれます。それだけでなく、慣れ親しんだものだけど「おや、いつもとちょっと違う」という気持ちが好奇心につながり、頭の働きが活発になります。


※お子さんが受け入れやすい素材を活動の中に取り入れた例。紐やリボンなど薄くて細めのものなら自ら手を伸ばす姿が見られるため、ローラーをつなげたテープひもを握り、スクーターボードで移動して色をつける遊び。

 

遊びはいつも、お子さんの興味ベース。

――さきほど「好きなことだと頑張れる」というお話もありましたが、子どもたちの興味はどうやって把握しているんですか?

えり先生:お子さんが入園した日から、なんに興味があるのか、どんなことに対してリラックスしたり笑顔を見せたりするのかということをよく観察し、先生の間で共有しています。園生活を重ねる中で、新たな興味に気付くこともありますよ。

ゆきこ先生:うちの園では、先生全員が14名の園児の興味関心や得意なことはよく知っています。お子さんと接する先生の組み合わせも毎日変わっています。翌日の活動について、活動内容とめあてを毎日確認する時間をとっています。


※鬼のお面を作るために、はさみを使えるお子さんがはじめて「曲線に切る」ことに挑戦!子どもの成長段階に合わせ、一人ひとりの「できること」を生かした遊びを考える。

 

いずみ先生:視覚を使った遊びが得意な子や、聴覚を使った遊びが得意な子もいますし、こういう感覚は苦手なんだな、と気付くこともあります。

――お子さんが苦手な活動は、どうしているんですか?

ゆきこ先生:まず大前提として、子どもの嫌がることは強要しません。ただ、例えばスライム遊びで独特な感触が苦手な子がいたとき、スライムを温めたり、固さを変えたり、金色に着色してキラキラさせたりすると、興味を持って自分から触りにいくこともありますよ。

※光るスライムで遊ぶ様子。感触と同時に視覚でも楽しめる

 

子どもたちの得意に合わせ活動も変える

――ヘレンって、集団保育ならではの良さがあると思っていたんですが、同時にそれぞれのお子さんに寄り添った遊びが考えられているんですね。集団のなかで、ひとりひとりのお子さんに合わせる難しさはありますか?

ゆきこ先生:私のいる園には14人のお子さんが在籍していますが、年齢も発達のようすもばらばらなので、同じ活動でもひとつの設定だけでは対応できません。一人ひとりに応じた設定を考えていきます。活動に子どもを合わせるのではなくて、子どもに応じて活動を合わせていくイメージです。

たとえば、お月見の絵を作成した時、クレヨンを握れるお子さんはクレヨンで色を付け、握るのが難しいお子さんは指に絵の具を付けて塗りました。
指での感触が楽しめるお子さんには、あえてドロドロに粘度を高めた絵の具を用意して、その感触自体を楽しんだりしました。


※お月様の絵を描く様子。クレヨンを握れる子はクレヨンに挑戦

 

えり先生:初台園でも、お絵描きのとき、筆をその子が持ったときの高さになるように上から吊り下げたりします。ずっと先生が子どもの手を支え絵を描くこともできますが、筆を吊り下げることで自分の意志で筆を動かすことができますし、たとえ手を放しても筆が倒れて終わり、ではなくなるので、子どもたちもまた頑張ろう!とふたたび筆を掴む意欲がわいてくるようです。


※ゴムひもの先に筆をつけている様子。筆が立っていることで持ちやすくなったり、手を離してしまってもまた自分で掴んで操作できる。

 

絵の具も、ベタベタした絵の具は嫌いだけど、活動後の手洗いの泡は楽しそうにしているなぁと思ったら、絵の具にハンドソープを混ぜて泡立てたり、木工用ボンドを入れてクリーム状にしたり、道具や素材を変えたりしています。
活動前には、「この子は今日、こんな動作に挑戦してみたい」というのを先生同士で共有し、確認しています。


※せっけんと絵の具を混ぜて、足でお絵描き。ベタベタした感触が苦手なお子さんも、泡だと触れられることも。泡の模様がついたり、淡い色合いも楽しめる。

 

集団の中で芽生える意欲

いずみ先生:先生たちの活動の工夫ももちろんですが、子どもたち同士が刺激を受けあい、意欲を高めあうこともあります。以前、画用紙で雪だるまを作る活動をしたのですが、できあがった作品を部屋に掲示したとき、友だちの作品をみて、あるお子さんの口から「もういちどやりたい」という言葉が出ました。友だちの作品を見て、「わたしもできるようになりたい」という気持ちがかき立てられたのでしょうね。集団の中で芽生える意欲は確実にあると思います。


※段ボールでの遊び。大きな箱のトンネルと、さまざまな大きさと重さの箱を部屋にセット。全身を使って身体の動きを獲得しながら、子どもたちがアイデアを出し合って遊びが広がっていく。

 

えり先生:スタッフが誘うより、友だちの様子をみてから活動に参加するお子さんも多いですね。

いずみ先生:遊びの話とは少し離れますが、食事でもそうした姿が良く見られます。家では食べない、というお子さんでも園だと食が進んだり、親御さんから「お友達がお箸を使っているので買って!と言われて使い始めました」というお話を聞くこともあります。

――先生たちがさまざまな工夫を凝らして、環境を整え、子どもたちの興味関心を最大限にかき立てる。そして、活動の中で子どもたち同士でさらに意欲を高めあい、成長につながっていく。ヘレンの保育の真骨頂を見た気がします!

遊びを通じて、社会性も育む

ゆきこ先生:それから、遊びでは、一人で集中して遊びこむというのも大切ですが、なるべく人と一緒に遊ぶように設計しています。

――遊びの中で人と関わるようにするということですね。どういう意図があるんでしょうか?

えり先生:医療的ケアが必要なお子さんや、障害があって自由に外出するのが難しいお子さんは、家で過ごす時間が長く、ヘレンで家族以外の人とはじめて過ごすという子もたくさんいると思います。

ヘレンは、新しい出会いの入り口。親御さんと一緒に環境に慣れて、つぎは先生と一緒に遊んでみて、それから友だちにも興味が広がっていけば…と思っています。ひとりでも好きな先生が出来たらいいなと思いますね。


※先生といっしょにもぐらたたき遊びをする様子。活動のゴールが分かりやすく、できた!という自信につながりやすいそう。

 

ゆきこ先生:おもちゃと自分の世界で遊びが完結してしまうともったいないですよね。おもちゃや遊びを通して、人と繋がれるといいなと思います。たとえば、ポロっとおもちゃを落としてしまった時、「落ちたよ!」と周囲の人に報告したり、「取って!」など大人に意思表示する経験を積む、とか。

いずみ先生:ヘレンを卒園したあとも、いろんな方と関わり合い、力を借りて生きていく場面が多いお子さんたちだと思います。だからこそ、人間関係を築く力も育んでいきたいですね。ただ人懐っこいほうがいい、という話ではなく、生活の中で「これは嫌だ」ときちんと意思表示が出来ることも、本人にとって大切な力です。

えり先生:人の中で過ごす経験はとても大事ですね。学校や社会に旅立って行く前に、いろんな力をつけてほしいと思います。

たくさんの人と一緒に過ごすのを楽しめること、いろいろな活動を通じて自分への期待感をもつこと、たくさんの経験を積んで、次のステップに進んでほしいと願っています。

――日々の遊びの中で、ただ体の発達をうながすだけではなく、意思表示の練習をして、社会性を育んでいくんですね。そして、その経験がお子さんの卒園後の将来にも繋がっていく……ヘレンの遊び、とっても奥が深いです!濃いお話を、ありがとうございました!

ヘレンは、障害のあるお子さんを専門にお預かりする、特色ある保育園です。でも、保育園の中で行われているのは、「医療的ケアにも対応し、安全にお預かりをする」ということだけではありません。

園には、子どもたちの将来を考え、それぞれのお子さんの発達の状況に合わせた活動を日々考え、一丸になって取り組む先生たちがいます。

設備やおもちゃに子どもを合わせるのではなく、子どもに合わせて活動を作り、おもちゃが無ければ、自分たちで作ります。

そして、そこで活動する子どもたち同士が、刺激を受けあい、いきいきと成長しています。

障害児保育園ヘレンでは、これからもお子さん一人ひとりに寄り添い、親子の伴走者となれるよう、子どもたちの未来を考えた保育を提供していきます。


いかがでしたでしょうか?
少しでも障害児保育園ヘレンの様子が伝わったら嬉しいです!

障害児保育ヘレンは、療育の視点を持った保育スタッフ、看護師、リハビリスタッフなど、様々な職種のスタッフでチームを組み、「遊び」を出発点とした、子ども自身が楽しみながら発達を促す保育をしています。

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こども達のために、日本を変える。フローレンスは日本の子ども・子育て領域に関わる課題解決と価値創造に取り組む、国内最大規模の認定NPO法人です。 日本初の訪問型病児保育事業で2004年に設立し、子どもの虐待、子どもの貧困、障害児家庭の支援不足、親子の孤立の課題を解決するため、多様な保育事業を運営するほか、全国で「こども宅食」「おやこよりそいチャット」「にんしん相談」「赤ちゃん縁組」などの福祉事業と支援活動、政策提言をおこなっています。